ちょっと意外ですが、海外で自毛植毛手術を受けようとし、タイを選ぶ日本人は多いのです。
タイは美容意識が強く、整形手術が盛んな国の1つです。
また、性転換手術の実施件数は世界トップクラスのようです。
そんなタイだからこそ、自毛植毛手術も盛んなのです。
しかしわざわざタイまで行ってまで手術を受けるメリットはどんなところにあるのでしょうか?

タイの自毛植毛事情

治療費がかからない

タイで自毛植毛手術を受ける場合の最大のメリットが、グラフト数に応じた金額のみで、治療費がかからないことです。
グラフトとは自毛植毛を行う際の株のことで、1グラフトには約2本の毛が生えています。
タイでは1グラフトあたり約260円(80バーツ)で植毛手術を受けることができます。
日本や他の外国ではグラフト数に応じた金額と基本治療費どちらもかかりますから、タイでは他の国に比べて安く植毛手術を受けることができるのです。
ちなみに日本では1グラフトあたり600円、1000円ですので、グラフト数に応じた金額も、タイは日本の半額以下です。

しかし1000グラフト程の本数からしか受けつけてくれないことが多く、少量のみ植毛したい方には向きません。

タイで受けられる自毛植毛手術

タイの自毛植毛クリニックでは、メスを使って頭皮を切開するFUT法が取り入れられています。
FUT法は髪の毛の定着率が高いことから、世界中で取り入れられている方法です。
自毛植毛手術にはFUT法の他に、メスを使わないFUE法もあります。
FUE法は定着率が低いというデメリットがありますが、なんと言ってもメスを使わないというのが最大の魅力的です。
当然、術後に抜糸の必要がありません。
しかしFUE法は熟練された高度な技術が必要なため、限られたクリニックでしか実施されていません。
タイでFUE法を受けられるクリニックは今のところないようです。
一方日本や韓国ではどちらの手術法も取り入れられています。
このことを考えると、タイは日本や韓国に比べて自毛植毛手術の技術が低いと言えます。
しかしFUT法に関しては日本などの最新技術を取り入れているので安心できます。
日本と同等の技術力です。

しかし、タイでは男性のみにしか施術してくれないこともあるようです。
クリニックのホームページにも男性の写真しか載っておらず、植毛は薄毛に悩む男性が行うものという意識が強いように思えます。
しかし日本人女性には薄毛に悩む方が多くいるのが現実です。
女性で自毛植毛手術を受けたい方は問い合わせてみたほうが良いでしょう。

FUT法は術後1週間後くらいに抜糸が必要です。
1週間タイに滞在し、手術を行ったクリニックで抜糸してもらうのが一番安心ですが、1週間もタイにいては、宿泊費がかさんでしまい、安く手術を受けた意味がなくなってしまいますよね。
手術を受けたクリニックから診断書を受け取り、日本のクリニックで抜糸することができます。
しかし抜糸に3000円程かかるようです。

ほとんどの方が大手2社を利用

タイで植毛手術を受けた日本人のほとんどが、美容整形で世界的に有名なY社、自毛植毛専門のクリニックM社のどちらかを利用しています。
利用者が多いから安心とは一概には言えませんが、技術が低いクリニックがたくさんあり利用者が分散するよりも、このように多くの方が利用するクリニックが限られているほうが、クリニック選びで失敗することが少なくなります。
手術が成功し、髪の毛が定着するかどうかは、クリニック選びにかかっていると言っても過言ではありません。
クリニック選びで失敗しにくいということは、手術の成功率が上がるということに繋がります。

タイ現地通訳など不安な点について

サービスつきのクリニックを選ぶ

自毛植毛専門のM社には、日本語専用のホームページが設けられていて、手術の流れや料金等を確認することができます。
日本語に対応可能なホテルの予約をしてくれ、日本人スタッフが空港までの送迎サービスもしてくれるので、初めてのタイで不安な方も安心できるでしょう。

あとで詳しく触れますが、パッケージツアーというものがあり、それには通訳の方がついてきてくれます。
そのためパッケージツアーを利用すれば、現地に行ってから言葉が通じなくて不便することは少ないでしょう。

予約が心配なら代理店を利用

代理店というものがあり、海外で植毛手術を行う際の病院とのコンタクト、予約手続き、滞在手続き、空港からの送迎を行ってくれるので利用すると安心です。
予約の段階で言語の違いに困ることも少なくないので、不安であれば代理店を利用するのも一つの手です。
しかし代理店は手数料が高く、ホテルも高いところを勧められたりということがあるようです。
とにかく節約したい方には向きません。
せっかく安くすませようとして海外での手術を考えているのに、代理店の手数料のせいで日本で手術を受ける値段と変わらなくなってしまっては、全く意味がないですからね。

自力での問い合わせは大変

しかし、自分でクリニックに連絡をとり、手続きを進めるのは大変なようです。
日本語のホームページがありそこから予約できるクリニックは便利ですが、全てのクリニックがそういう制度を取り入れているわけではありません。

クリニックに日本語が話せるスタッフがいるとうたっていても、常にそのスタッフがいるとも限りません。
日本語で連絡を取りたい場合にはかなりの時間がかかることがあるようです。
こちらから何度も電話し、日本語を話せるスタッフがいる日に当たるのを待つしかないのです。
そのスタッフがいついるのかを聞くにも、タイ語か、お互い英語を話せないと聞くこともできません。
クリニック側から折り返し電話をしてきてくれることは期待してはいけません。
しかし運良く日本語を話せるスタッフに一発で当たれば比較的スムーズに進むので、運次第というところも大きいですね。
またメールは送っても返信がないことが多いようです。
日本のように、お客様の要望にはすぐに応答するという、お客様第一に考える文化がないのです。
不親切と思ってしまいますが、文化の違いですので仕方がないことなのです。

タイまでの渡航費なども含めた費用

お得なパッケージツアーが主流

タイで自毛植毛手術を受ける日本人のほとんどが、自毛植毛手術代、往復の航空機代、宿泊費、空港からの送迎費用、通訳(搭乗員)費用が全て含まれた、パッケージツアーを利用しています。
専用のホームページがあり、インターネットで気軽に申し込みができるところもあります。
パッケージツアーの代金はクリニックにより異なり、為替相場により変動もしますか、だいたいの費用を目安としてお伝えします。

  • 1500グラフト(3000、3500本程)で50万、57万円程度
  • 2000グラフト(4000、4500本程)で60万、70万円程度です。

どちらも滞在期間2泊3日の料金です。
クリニックによりますが追加5000円程で一泊追加もできる場合があります。

費用があらかじめ決まっているので、現地に行ってから予想以上にお金がかかって困ることがないのも便利な点です。

タイへの渡航費と宿泊費

タイへの渡航費は、羽田や成田からバンコクまでの場合、格安航空を利用して繁忙期以外で往復2、5万円、格安航空以外の場合、往復で10万円弱くらいです。

タイでの宿泊費は、どのレベルのホテルを選ぶかによって大きく変わってきます。
中級クラスのホテルなら1泊3600円、8400円程のようです。
自毛植毛手術を受ける場合2泊3日が一般的ですので、宿泊費はこの倍の7200円、16800円程となります。
渡航費と合わせると27200円、116800円程となります。

ではパッケージツアー代金から、この渡航費+宿泊費を引き、単純に手術だけの料金を出してみましょう。
1500グラフトの場合約38万円、54万円、2000グラフトの場合約48万円、67万円で自毛植毛手術を受けられる計算になります。
なお、送迎サービスと通訳は無料サービスとして考え、今回の計算には入れていません。

日本で手術の場合

タイでの手術法と同じFUT法を日本のクリニックで受けた場合の料金を紹介します。

日本の大手植毛クリニックの中で料金が安いとされるY社の場合でも、1500グラフトで80万円、2000グラフトで100万円です。
最新技術を取り入れているR社の場合1500グラフトで118万円、2000グラフトで146万円です。

これは1グラフト数あたりの料金と、基本治療費を合わせた、実際に支払う手術代金です。
日本のクリニックでもタイと同じように基本治療費がかからないところもあるようですが、そういったところは1グラフトあたりの金額が高いので、結果的に基本治療費がかかるのと同じか場合によってはそれよりも高くなることもあります。

先ほどお伝えした通り、タイでの自毛植毛パッケージツアーだと渡航費、宿泊費込みで1500グラフトで50万、57万円、2000グラフトで60万、70万円ですから、タイで手術を受けた方が格段に安くすみます。

タイでの食費、日本での空港までの交通費はパッケージツアーに含まれていませんが、これらを含めてもタイでの手術の方がはるかに安いのは明らかです。

評判、注意点

適切なアフターケアが受けられない

タイに限ったことではないですが、海外で手術を受けた場合、アフターケアが受けられないのが最大の問題です。
もし日本に帰ってから何か副作用が起こったときに、タイまでアフターケアを受けに行くわけにはいきません。
実際、手術後1週間経ってから問題が発生することもあるようです。
そうなった場合、日本のクリニックでアフターケアを受けるしかないのですが、他のクリニックで受けた手術に対してのアフターケアは高額だったり、場合によっては受けつけてくれないこともあります。
そして何より、手術を受けた病院での担当した医師によるアフターケアでないと安心できないでしょう。

また、タイではメスをいれるFUT法しか行えないため、必ず抜糸が必要になります。
アメリカなど最新技術を取り入れている国では溶ける糸を使い抜糸が必要ないところもあるようですが、タイではこのような糸は使われていないようですので、必ず抜糸が必要です。
術後1週間程で抜糸ですから、タイに長期滞在しない限りは日本のクリニックで抜糸することになります。
これもまた少なからず不安を伴いますし、抜糸にお金もかかります。
手術を受けたクリニックでの抜糸であれば、大抵抜糸代は手術費用に含まれていますから、抜糸の際に代金がかかることはありません。
つまり手術を受けたクリニックと別のところで抜糸をする場合、抜糸代を二重で支払うことになるのです。

言葉がうまく伝わらない

こちらもタイに限ったことではないですが、海外で植毛手術を受ける場合、言葉の問題があります。
医師としっかりと言葉のコミュニケーションが取れず、自分の希望を正確に伝えられないことでトラブルになるのは目に見えています。
いくら通訳がついていたとしても、100%伝わるわけではありません。
特に髪の毛の問題は繊細で、少しのニュアンスの違いで術後のヘアスタイルに大きな違いが生じかねません。

そして自毛植毛手術は自分の後頭部などから髪の毛を移植するため、ドナーの数は自分の髪の毛の数のみです。
このため、失敗したり出来栄えが気に入らないからといって、何度も手術をし直すことはできないのです。
だからこそ、失敗しないよう、事前のカウンセリングが大切になってきます。

しかし言葉の問題を完全に解決することは不可能です。
日本人に通訳をしてもらい少しでも正確に伝えるようにするのはもちろんですが、うまく伝わらないことはある程度覚悟しておかないといけません。

タイでの植毛の実際の感想

実際にタイで自毛植毛手術を受けた方の口コミを紹介したいと思います。

良かった点としては、

  • クリニックに各国の通訳が揃っていて、優しいスタッフさんばかりで安心できた。
  • 術後のシャンプーの仕方の講習をしてくれた。
  • 日本人の通訳がいたので言葉に困ることがなかった。
  • 傷跡はあまり目立たない。ロサンゼルスで手術したときと同じくらい。
  • 手術中は睡眠薬でずっと寝ていたので楽だった。
  • 術後2年経ち、髪の毛はふさふさしている。結果に満足。

等があります。

悪かった点は、

  • 手術中に看護師さん達が談笑していて気分が悪かった。
  • 術後の止血の仕方が雑だった。
  • 痛み止めにモルヒネ(麻薬)を出された。
  • 問い合わせの際日本語を話せるスタッフがいなく、カタコトな英語でなんとかやりとりをしなければいけなく、大変だった。
  • 問い合わせのメールに返信がない。

などがあります。

良かった口コミは、大手2社のものがほとんどでした。
そして悪い口コミは、2社以外のクリニックのものが多いのです。
やはりタイのクリニックは、信頼できるところとそうでないところの差が激しいようです。

しかしタイで手術を受けた方の実体験の口コミは、日本や韓国で受けた方に比べ圧倒的に少ないです。
口コミが少ないと、クリニック選びの際に参考にできるものが少ないので不安が残ります。

タイという国柄に注意

タイというと申し訳ないですが、あまり衛生的な国とは言えないイメージですよね。
また、治安も良くないイメージです。

実際、植毛クリニックでも、衛生面に問題のあるところもあるようです。
また、悪質なクリニックだと、日本人だということでパッケージツアーの代金を実際よりも高く取られるということもあるようです。

またタイの水道水は飲料水になりません。
サビ臭があり、完全に透明ではないようです。
飲むのは問題ですが、シャワーや洗濯に使っても問題ない水質だそうです。
しかし、手術後の傷のある頭をこの水で洗うのは抵抗がありますよね。
何か炎症が起こってしまったら大変です。
普段からそのような水を使っているタイの人はなんとも思わないでしょうが、日本人からしたらちょっと気になるところです。

いくら費用が安くても、不衛生な環境で手術を受けるのは嫌ですよね。
手術個所に炎症が起きてしまったら大変ですからね。
そのためにも衛生的なクリニックを見極めたいところですが、実際にクリニックを見てから選ぶことができないですし、口コミも少ないので、やはり不安が残ります。

タイの植毛事情のまとめ

タイで自毛植毛手術を受ける最大のメリットは、料金が安いことです。
多くの日本人はそれが目的でタイに手術を受けに行くのです。
パッケージツアーを組んでいるクリニックが多く、通訳の用意もしてもらえるので、タイ語が話せなくても問題ありません。
しかしこれはタイに行ってからの話です。
クリニックへの問い合わせ、予約は自分自身で行わなければいけません。
高いて手数料を払って代理店に頼まない限り、予約に苦労することは覚悟しておいたほうがいいでしょう。

また、医師に自分の要望が伝わらない問題、アフターケアが受けられない問題、タイの衛生面の問題などもあります。
これらのことを総合的に考えると、タイで自毛植毛手術を受けるメリットは、格安で受けられること以外、ないように思えます。
値段だけで選んで失敗するより、高くても安心できる日本のクリニックで受けた方がいいように思えます。

しかし値段の安さは日本とは比べものになりません。
いろいろな問題は理解したがそれでも安くすませたい、というのであれば、タイでの手術も考えていいと思います。
しかしクリニック選びを間違えると大変なことになるのはお分り頂けたと思います。
もしどうしても安く手術が受けたいのであれば、慎重にクリニックを選んだ上での手術をお願いします。