自毛植毛は医療機関で行われる外科手術で医療行為になります。
メリットだけではなくデメリットもありますので、良い点も悪い点もどちらも知って納得した上で自毛植毛手術に踏み切るべきです。

1.費用が高い

保険適用外の外科手術のため非常に費用が高いというのは一番のデメリットになります。

費用は植毛する数によって変わります。
額に1000本なら65万円、3000本なら130万円~160万円、頭頂部に4000本なら160万円~190万円と、決して安くはありません。

ただし、ミノキシジルやプロペシアなどの抗男性ホルモン薬での治療の場合は服用し続ける必要があり、長期間服用した場合の治療費用合計は2000万円~3000万円かかることもあります。

カツラなども購入費用とメンテナンス費用で1000万円~2000万円かかる場合があります。
それらと比べると費用面では比較的安くすむといえるでしょう。

一番安いクリニックでも500株で40万円程度。医療ローンを使えば毎月の支払い負担額は減らせますが、やはり高いですよね。

髪の毛が半永久的に生え続け、メンテナンスも必要ないことを考えると決して高くないと思っていますが、それでも検討中の段階では高く感じて已む無しといったところでしょう。

2.本数(ドナーの数)に限りがある

自毛植毛は自分自身の毛髪ですから、脱毛部分を全てこれでまかないたいところです。
しかしながら、必ずしもそのようにできるとは限りません。
まず、植毛できる毛根がどれほど残っているのかという問題があります。
毛根を移植するということは、毛根の位置を変えるということですから、毛根が増えるわけではありませんので、残っている毛根の数と脱毛部分の広さとの兼ね合いで限界があるわけです。

また、1回の施術でどれほどの数の毛根を移植できるかという問題もあり、移植する数が多ければ2回の施術に分けて植毛することもあるわけです。

AGAの影響を受けづらい後頭部と側頭部のを毛包から採取し移植すると説明しましたが、毛包ごと採取しますので、ドナーを取得した部分は以後毛が生えてきません。

後頭部と側頭部の毛量は限られているので、移植できる本数も限られるわけですね。
元々の毛量によって個人差はあるものの、おおよそ4000~6000株(本数にして10000~16000本)程度が限界になります。

ちなみに日本人の髪の毛は平均10万本ほど生えていると言われています。

3.後頭部を刈り上げる必要があるので術後目立つ

自毛植毛ではグラフトを正確に採取するため、後頭部や側頭部のドナーとなる部分を1~3mmほどの長さに刈り上げる必要があります。

「友人や同僚にバレたくない」から刈り上げない自毛植毛を探している人も多いでしょう。
専用のウィッグで隠せばほとんど分からないので、そこまで心配する必要はないと思いますが、どうしても刈り上げたくないなら料金は高いですが、親和クリニックのNC-MIRAI法(ナチュラルカバーリング)か、アイランドタワークリニックの刈らないdirect法が一番分かりづらい術式になりますね。

3.生え揃うまで時間が掛かる

自毛植毛するとすぐに髪が生えてくると思っている方もいらっしゃるかもしれないですが、手術後髪の毛が生え揃うには時間が掛かります。

人工毛植毛やカツラの場合は、すぐに体裁が整う点がメリットといえるでしょう。
しかし、自毛植毛は自分自身の毛根を移植するので、そこから毛髪が伸びるのに時間がかかります。

植毛して定着した部位から2~3ヶ月ほどで産毛が生え始め、時間の経過と共に発毛した髪の毛が強く太い元気に育っていきます。
10~12ヶ月もすれば、薄くて気になっていた箇所もフサフサでボリュームのある雰囲気に仕上るでしょう。

移植後から生えそろうのに数ヶ月から1年かかると考えておく必要があります。
したがって、すぐに生えそろった状態にしたいという要望には向きません。
毛髪は1ヶ月に平均1.2センチの伸びですから、7~8センチまで伸びるにはそれなりの期間がかかるわけです。

「生え揃うまで時間が掛かる」ってことは、裏を返せば「髪が少しずつ自然に増えていく」ということで、身の回りにいる人が違和感を感じづらいってメリットとも捉えることができます。
カツラだといきなり髪が増えるので明らかに不自然ですからね。

4.複数回手術を行う可能性がある

薄毛が広範囲に渡っていて大量に移植が必要な場合、一度の手術では終わらず複数回手術を受けなければいけません。

最近では複数人の医者で移植することで1500株以上のメガセッションが可能なクリニックもありますが、基本的に2000株以上の移植を希望する場合は複数回の手術になる可能性が高いでしょう。
どれくらいの期間を空ければ2回目の手術が受けられるのかは、一度目とは違う部位に移植するのか?同じ箇所に移植するのか?で変わってきます。

一度目とは違う部位に移植する場合

ドナーとなる頭皮の回復を待つ必要があるので、おおよそ3ヶ月程度は間隔を空けます。

同じ箇所の密度を濃くするため移植する場合

頭皮の回復を待つだけでなく、一度目で移植した毛穴から新しい毛が生え揃うのを待つので最低でも半年、念の為9ヶ月ほどは間隔を空けた方がいいでしょう。

アイランドタワークリニックのi-Directでは1回の手術で4000グラフトほどの移植も可能なので、複数回に分けず植毛したい人は値段は高いですがi-Directを選んでもいいですね。

5.自毛植毛で副作用がでる可能性・失敗例

自毛植毛は麻酔も必要な外科手術になるので副作用が発生する可能性があります。
必ず副作用が起きるわけではなく、全く起きない人もいます。全員が全員副作用が起きることはありませんが、どのような副作用や植毛の失敗例があるのか前もって知っておくことで症状に心配することもありませんので一度ご確認下さい。

痛み

一時的:手術翌日から2日目くらいにかけて。
自毛植毛手術直後は頭皮が傷ついていますので、麻酔が切れた後、頭皮の痛みがあったり頭痛を感じることがあります。
鎮痛剤が処方されるので飲めば治まります。※ほとんどの場合は鎮痛剤を使用せずに済みます。
FUE法(頭皮を切る植毛)よりもFUT法(切らない植毛)の方が痛みの症状は軽いです。

出血

一時的:手術当日~翌日。
血がにじむくらいで極微量ですが、出血が続く場合があります。

しびれ

半年程度
植毛した部分に一時的なしびれを感じることがあります。頭皮の感覚も鈍くなるようです。

吐き気

一時的:手術当日~翌日
手術時の麻酔の影響で気分が悪くなったり、吐き気がする方もいます。麻酔による副作用なので麻酔が切れた翌日には大抵良くなります。

しゃっくり

一時的:手術翌日~2日目。
稀ですがしゃっくりが出て止まらなくなることがあります。普通は数時間~半日くらいで自然と良くなりますが、長引くようであれば内服薬で治ります。

頭皮のかゆみ

大体術後1週間~10日くらいから縫合した箇所やくり抜いた箇所が痒くなります。傷口が治りかけのときは痒みがあると思いますが、あれが頭皮で発生すると考えて下さい。
ただ、移植直後は痒くてもかけません。ツライですが植毛がちゃんと定着してくれるためなので我慢しましょう。

2週間くらいしたら指でこすり洗いするシャンプーがOKになるので、それを超えると痒みもかなりマシになります。

まぶたの腫れ

一時的:手術翌日~一週間
まぶたの腫れは最も起きやすい副作用で、手術で使った麻酔薬が寝ている間にまぶた周辺に付着するのが原因と言われています。
一週間くらいすると自然に治ります。

植毛した周囲の毛が抜けるショックロスとは

術後1ヶ月後~2ヶ月後
「ショックロス」と言われる脱毛現象が起こります。

毛根を移植する自毛植毛では、植毛以後の頭皮の血流が変わることがあり、植毛した箇所の周囲の自然毛(元々生えている髪の毛)が抜ける現象で、自毛植毛した人の20%にこの「ショックロス」の症状が起こると言われています。

植毛した部分は生着率が90%以上と確実性が高いものの、その周囲の既存の毛髪が抜けることがあります。
これには、生え変わりのために一時的に抜ける場合と、男性型脱毛症で細くなっている毛髪がさらに弱って抜けてしまう場合の2種類があります。

そのうち、男性型脱毛症で細くなっている毛髪が抜けてしまうケースは、頭皮の血行の変化が原因です。
その場合、次の発毛が期待できない場合が多く、また生えてきたとしてもやはり細い毛髪です。
それに対して、生え変わりのために一時的に抜ける場合は、自然な発毛サイクルであり、いずれまた生えてくるので心配いりません。

またそれとは別に、せっかく移植した毛髪が術後2週間ほどでほとんど抜けてしまう現象も見られます。
「自毛植毛が失敗したのか」と驚いてしまいそうですが、これも一旦抜けて新たに生え変わる自然な発毛サイクルが起こっているもので、全く心配いりません。

手術後1~2ヶ月後に発生しやすく、3~4ヶ月もすると新しい髪の毛が生えてきます。
※植毛した毛が一旦抜けるのは、生え変わりの準備のためで全員起こる症状なので心配する必要は一切ありません。

ショックロスを予防するには、ミノキシジルやフィナステリドを早めに使用するのが有効とされています。

吹き出物(毛包炎)

術後数週間~数ヶ月
ニキビ状の吹き出物ができる。

どうしても傷跡が残る

自然な仕上がりの自毛植毛ですが、確かに毛根を植えた側は自然ですが、毛根を取り出した側には手術跡が残ります。

どの術式でも手術後の傷跡を目立たなくしようと努力していますが、現段階ではどうしても傷跡が残ってしまいます。

FUTストリップ法では頭皮ごと切り取りますので、切り取った部分を縫合して治療します。
その傷跡が1本の線のように残ります。
ただ、その線が目立たないような工夫をしているクリニックもありますので、どれほど目立つのかはFUTストリップ法のやり方によって多少変わります。
FUEくり抜き法では縫合跡のようなものは残りませんが、白い斑点上の傷跡が残ります。
また、毛根を取り出した部分は毛髪がない状態になりますので、場合によってはそこが目立つこともありえます。
ただし、それらは刈り上げや髪が極端に短いヘアースタイルだとわかりますが、通常はほとんど目立ちません。

頭皮が見えない程度髪を伸ばせばまず傷跡は見えないので、気になることはほとんどありませんが、「頭皮が見えるくらい短髪にしたい!」「絶対に傷跡を残したくない!」このような希望がある人には自毛植毛は向かないでしょう。

失敗しない自毛植毛のためのポイント

自毛植毛にはメリットがある反面、上記で説明したようなリスクがありますので、そのリスク・副作用について理解した上での判断しないといけません。

また、自毛植毛を受ける病院やクリニックについて評判や副作用の対応について調べる必要があります。
自毛植毛にはリスクがあるので一つの病院だけでなく、手術方法や実績、アフターケアをしっかり行っている病院など、複数の病院を調べて、比較検討しましょう。

自毛植毛に関する情報はネットだけでなく、自分の足で病院、またはクリニックに行って直接相談してみる所から始めるのもよいでしょう。